ターゲットインサイトを理解し、価値あるプロダクトをユーザーに届ける/マーケターインタビュー
外国籍エンジニア向けの転職エージェント「G Talent」や、グローバルIT人材の採用マッチングサイト「GitTap」を展開しているビズメイツ。今回は「G Talent」「GitTap」のマーケティングを担当するタレントソリューション事業部の湯さんにインタビュー。中国から来日し、日本での起業経験を経てマーケティング業務を担当している湯さんに、マーケターに欠かせないスキルアップの工夫や今後の目標について聞きました。
■プロフィール
タレントソリューション事業部:湯 景慧(とう けいけい)
中国の外国語大学にて日本語を専攻し、長野大学へ編入。経営学を学び、卒業後はフォトスタジオを起業。出産・育休を経て、子育てをしながらMBAを取得。小売業でのマーケティング経験を積み、2023年にビズメイツへ入社。
マーケティング業務に集中できる環境を求めて
——これまでの経歴を教えてください。
学生時代は外国語大学で日本語を専攻し、2年次に長野の大学へ編入しました。日本に興味を持ち始めたのは小学生のころ。「日本のアニメを字幕なしで見たい」と思ったことがきっかけです。
大学では経営学や財務、マーケティングを学びました。卒業後は「大学で学んだ知識と自分が中国人であることを活かしたい」と思い、訪日中国人向けサービスでの起業を決意。中国人観光客をターゲットにした記念写真撮影の事業化を目指し、フォトスタジオを立ち上げました。
中国人観光客向けの記念写真撮影であれば、日本を訪れて感動した思い出を形として残せますし、中国語も活かせると考えたからです。フォトスタジオを経営しながら、出産をし育休も取得。その間にMBAの取得にも挑戦しました。
5年ほど会社を経営し、営業・マーケティング・財務など幅広い業務に携わる機会が多く、成長もできましたね。
一方で、さまざまな業務スキルをまんべんなく得るよりも「一つの領域」に特化したプロフェッショナルになりたいと思い、改めて今後のキャリアを考え始めたんです。そこから、専門性の高いスキルを磨こうと考え、新たな環境でマーケターを目指すことにしました。
私がマーケターを目指した理由は、ユーザーのインサイトを分析しながら訴求していく、専門性の高さに魅力を感じたからです。
その後は小売企業へ入社し、マーケティング業務に従事。2023年7月にビズメイツへ入社しました。
——小売企業から、転職を考えたきっかけを教えてください。
「メリハリをつけて働き、豊かな人生を過ごしたい」と考えるようになったのがきっかけです。前職では常にタスクに追われ、残業時間もかなり多く、仕事以外の時間があまり確保できませんでした。
そのため、仕事中は100%業務に集中し、プライベートでは家族と過ごす時間を大切にしたいと思いました。
——そこから、ビズメイツを選んだ理由は何だったのでしょうか?
ビズメイツに惹かれた理由は、メリハリをつけて働けると思ったことはもちろんですが、なかでもマーケターとしてスキルアップができそうだと感じたためです。
前職ではキャンペーン企画を中心に業務を行ってきました。私が所属しているタレントソリューション事業部は専任のマーケターが在籍していなかったため、裁量を持ってマーケティング全般に携われると面接時に聞きました。
人材業界に関わるのは初めてだったため、どこまで実力が発揮できるか不安もありましたね。
しかし、会社経営時や前職でマーケティングの経験があるため、今までにない別の視点からの企画立案やユーザーへの訴求方法など、会社に貢献できることはあると考えていました。
業界によるマーケティング施策の違いを実感。企画力の幅が広がった
——現在の業務内容について教えてください。
「G talent」「GitTap」のマーケティング全般を担当しています。各部署や外部の協力会社と連携しながら、新規ユーザー獲得に向けたキャンペーンの企画・広告運用を中心に、リスティング広告の改善、配信していたメールマガジンのリニューアルにも取り組んでいます。
私が所属しているタレントソリューション事業部は、個人に大きな裁量が任されており、自分なりに課題解決の道筋を模索しながら、企画、実行、効果検証を実施し、仕事のおもしろさを味わっています。
またマーケティング業務だけに集中できる環境で、最新の市場動向と広告運用スキルが吸収できているため、マーケターとしての成長も実感しています。思い切って新たな環境にチャレンジをしたことが、奏功しました。
——今までの経験が活かされていることや、ギャップを感じていることはありますか?
商品の販売促進キャンペーン企画を担当していた経験が役に立っています。ほかの部署と連携を取りながら企画を立ち上げるなど、どのような業界でも仕事の流れには共通点がありますね。
一方で、業界が異なるがゆえの難しさも感じています。例えば小売業で商品の販促キャンペーンを実行する際には、店舗の販売スタッフが介在して購入を促すことで相乗効果を発揮させていました。
ところが私が担当している「G talent」や「GitTap」は人材サービスであるため、前職のような「小売業特有の店舗による購買促進」というものがありません。
こうした違いを把握して、いかに対応するかは大きな挑戦ですね。マーケティング施策において、ベストな戦略を模索している最中です。
——入社後に苦労したことはありましたか?
最初は人材業界の専門知識の習得に苦労しました。
マーケティングは現状の数値に満足せず、常に効果のある施策を生み出していく仕事です。改善策が必要であれば効果検証のPDCAをスピーディに進め、改善が必要なキーポイントの分析・検証も求められます。
人材業界に関する専門知識が深いほど分析・検証の精度も高くなるため、引き続き学ぶ機会を多く取るようにしています。
ユーザーが置かれている背景を知り、心理を理解する
——スキルアップをするために、意識して取り組んでいることはありますか?
外部の戦略コンサルタントと、運用結果のレポーティングや施策の相談、広告企画のコンセプト設計について定期的にミーティングを行いながら視野を広げています。
他にも、上司と積極的にコミュニケーションを取りながら、人材業界やマーケティングのノウハウを得ています。
——マーケターとして大切にしていることを教えてください。
「ユーザーの心理をいかにつかむか」を大切にしています。マーケターは「商品・サービスの価値」を伝える役割があります。その役割を全うするには、ユーザーが置かれている環境を調べ、ユーザーのインサイトを理解する姿勢が問われるのではないでしょうか。
私が担当している「G talent」や「GitTap」のユーザーはさまざまな国籍の方が対象です。国籍が異なれば、施策も異なります。加えて年齢・性別・現在の職業なども考慮する必要がありますし、それぞれの文化・言葉についての理解も求められます。
来日した外国籍の方が何に悩み、何を感じているのか。私自身の経験に加えてさらに多くの事例を調べ、背景を知りたいと思っています。
実際に、周囲の友人や他部署の社員へのユーザーインタビューを通じて、状況について定期的なヒアリングを実施しています。SNSにも日常的に触れ、ユーザー心理を自然にキャッチできる仕組みを整えています。
社会的認知を高めるブランディング戦略への挑戦
——将来的に挑戦してみたい業務はありますか?
将来的には担当しているプロダクトの認知に貢献する、ブランディング戦略に挑戦してみたいと思っています。
今は新規ユーザーを獲得するキャンペーン企画などをメイン業務としていますが、ゆくゆくは、“外国籍のエンジニアが仕事を探すのであれば「G talent」、「GitTap」”と、社会に認知してもらえるような仕事をしていきたいです。
そのためにまずは、マーケティングのノウハウと人材業界の専門知識を学びながら「これは湯さんが担当したから成功した」と思われる成果を多く出していきたいですね。